そして、もう一つ、感情労働が重要な役割を占める職種がある。それがプロジェクト・マネージャー職だ。わがままな顧客と感情をすり合わせ、疲弊したチーム員を慰撫し、居丈高なくせに不安そうな上司には、信頼感を持たせる。これら感情を素早く切り替えて表出し、なおかつ計画やら報告やらにも気を配らなければならない。プロマネが世にも大変な職種である理由は、このような感情労働のレイヤーが、他者にも自分にも見えていない(だからその報償も得られない)ことにあるのではないか。 わたしは、知識労働も肉体労働も感情労働も、別に上下や貴賤はないと考えている。社会学者達は「商品化される心」というタイトルからみて、感情労働にネガティブな視線をなげかける傾向があるようだが、どんな労働だって、それが過重で無報酬だったら、人を壊してしまうと思う。一定のニーズが社会の中にあるのだから、感情労働にもちゃんとした地位を与えればいい。感情労働に問題があるとしたら、人がそれを認識しないまま、当然のサーヴィス(無料)として「感情」のリソースを浪費してしまう点にある。プロマネ達がみんな疲弊してしまわないためにも、マネジメント業務の中に感情労働のスキルと価値があることを、皆もっときちんと意識すべきだと思うのである。

Notes